Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、よしましょう。そんな話に乗っちゃいけません、馬鹿々々しい」

「なんで、馬鹿々々しいな?」

「だって、そうじゃありませんか。小判と見せて、実は木の葉。一文にもならないのに、豊島くんだりまで狸をかついで行くテはないでしょう」

とど助、大きくうなずいて、

「いや、これは大しくじり。いかにもそうだ。……これ、狸、せっかくだが、その話はことわるよ」

狸は、あわてて手を振って、

「じょ、じょ、冗談。……どうして、そんな人の悪いことをいたすものですか、木の葉などを使いますのは、酒買いに行く小狸のいたずらで、わたしどもは、そんな見識のないことはいたしません。禿狸の沽券にかかわります」

と言いながら、二ツ折から小判を一枚とりだして、とど助に渡し、

「どうぞ、充分におあらためくださいまし、これが木の葉なんぞでございますものか」

とど助、受けとって提灯の光でためつしかめつしていたが、

「こりゃア驚いた。これはいかにも宝永乾字。いたって性のいい小判だが、こんな古金をどこから持って来るのだ」

「こんなことはわけもない。……安政や万延の新小判なら、とてもわたくしどもの手には入りませんが、こんな古金ならいくらでも持ってまいります」