Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

とど助は、額に手をやり、

「それを言われると、わしもつらい。あんたとの約束は忘れたわけじゃなかったが、なにしろ寒くもあり、空ッ風に吹きさらされてぼんやり立っているのは、いかにも無聊。……腹立ちまぎれに大きな声を出しとったんじゃい」

「いけませんよ、とど助さん。空ッ腹の鬱憤ばらしにあんな恐い声を出しちゃ、とても商売にはなりません、やめてもらいましょう」

「いかにも、わしが悪かった。もうよす、よす。……よすはよすが、これから、どうする。参詣のひとも、もうちらほらになったから、いつまでもこんなところで客待ちしておっても、立ちゆかんと思うが」

「麻布六本木の京極の下屋敷の金比羅様もなかなか繁昌するそうだから、そっちへ廻ってみましょうか」

「やむを得んな。なんとかして、ひとつでも兜首をあげんことには、行きだおれが出来る」

「じゃ、まあ元気を出して、行くとしましょうか」

「ああ、まいろう」

どじょう鯰

六本木の多度津京極の屋敷の門前で、またひと刻。

とっぷりと暮れて六ツ半ともなれば、参詣の人影も絶え、ついで、屋敷の大扉はとざされてしまったので、あたりはひっそり閑。

このへんは寺や屋敷だけの町で、黒門に出格子窓。