Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
というのは、じつは手前が調べて来たのだから、これに間違いはない」
「風は、東からも吹きゃ、西からも吹く。……それが不思議だとでもいわれるのか」
顎十郎は手で押さえて、
「不思議はないが、曰がある。……ねえ、藤波さん、……一昨日の夜の四ツ(十時)頃、ごらんの通り、この厩が燃上った。……大体において、火の気のないところなんで、どうして、こんなところから火が出たかというと、それは、行灯凧が塀越しにむこうからのびてきて、この屋根へ落っこちたからなんで。……それを見ていた馬丁が五人もいるんだから、これには間違いはないんです。……行灯凧の燃えのこりは、のちほどお目にかけますが、ところでね、藤波さん、いったいぜんたい、どの方面から行灯凧をあげればちょうどこの辺へのびて来るでしょう。……いま申したように、この二三日来、ずっと下総東風が吹いているんです」
「うむ」
「うむ、というのは、大体お察しになれたというご返事だと思いますが、ここから川をへだてて金座の長屋は、ちょうど真西にあたる」
「…………」
「神田橋の勘定所から、金座へ御用金差しまわしの触役が来たのはその晩の五ツ(八時)ごろ。