Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
「いかがです。金座の塀の内からは、この松は見えない。……芳太郎のほうは、れいの通り、とんび組がきて引っきって行ったのだろうと思ったのだろうが、じつは、こんな始末だったんです。……あの凧に結び文があったかないか調べるまでもない。……かりに、そうだとすると、芳太郎の凧がこんなところにひっかかっている以上、むこうへ合図が渡らないたはずなのに、ご承知のように、石船はチャンと動き出している。……この理から推して、芳太郎の凧は、合図でもなんでもなかったのだと言ってるんです。……要するに、合図があったのは芳太郎の凧あげ以前のことだったと思うほかはない。……どうです、ご納得がゆきましたか」
と、小馬鹿にしたように、顎をふって、
「天の理というものは微妙なもので、この二三んち来、風がいつも同じ方向から吹いていたなんてことは、これは、まったく天のなせる業。……金座からあげた芳太郎の凧がここに落ちるなら、むこうの厩に落ちた行灯凧も、従って、やはり金座から出たと思えないことはない。これは、あながち、こじつけとも言われますまい」
急に真顔になって、
「じつは、あの事件があって以来、手前は、一ツ橋そとの二番原へ行って、凧をあげながらいろいろなことを考えておった。