Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
……なぜかと言いますとね、どんな器用なことをしても、あのわずかなあいだ、しかも朝がけ、ひと目のたくさんあるなかで三十二の千両箱をすりかえるなんてえ芸当ができるわけのもんじゃない。……すると、どういうことになる。……三十二の千両箱は、石船ですりかえられたんじゃなくて、金座をでる前にもうそうなっていたんだと考えるほかはない。……言うまでもなく、あの事件の後前にはすりかえができるような、そういう隙は一度もなかったから。……賊は、実は金座の中にいるので、それを外部の事件と見せかけるために、ああいう手のこんだことをやった。……そういう見せかけの事件をつくろうとしたことが、逆に、事件はすでに金座の中にあったのだということを裏書することになるんですな。……では、どんな工合にしてやった?……聞くところでは、一度、小判に極印を打って包装して千両箱におさめ、これを金蔵に収納すると、一年一度しか金箱のなかを改めない。……そのくせ、金蔵方は無造作に、しょっちゅう金蔵に出たり入ったりしているんです。……すこし気長にかまえさえすれば、毎日すこしずつ千両箱の中身を古釘にすりかえるくらいなことはいくらだってできる。