Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
……なんて言って見たところで、しょうがない。……よろしい、手前が、なんとかしましょう」
「なんとおっしゃいます」
「かならず、伝四郎氏の身の立つようにしてさしあげるから、安心なさい。天はしょうしょうとして誠を照らす。正直のこうべに神やどる。身投げをしようという一期のおりに、手前のような交際のひろい男に出っくわすなんてえのも、これもみな美徳のむくい。とても五百石とはいかねえが、一家七人安気に喰えるようなところへ、取りつかせて見せます。身装は悪いが、これでなかなか強面がきく。大名も小名も、みな手前の朋友のようなもんです。かならずなんとかしますから、もうこんな不了見を起しちゃいけませんぜ。……この三日のあいだに、吉左右をお聞かせしますから、当にして待っていてください」
と、いつになく、親身に老人をなぐさめ、手をとって小村井の往還まで送ってやって、また、さっきの岸で釣糸をたれようとしていると、中川の下流から、
「ヤッシヤッシ」
と、漕ぎのぼって来た二艘の早船。細長い、薬研づくりの、グイと舳のあがった二間船。屈強の船頭が三人、足拍子を踏み、声をそろえて漕ぎ立て漕ぎ立て、飛ぶようにしてやって来る。