Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
藤波はキッと顔をあげ、遠江守をにらみつけるようにしながら、
「これなるお鶴は、まさしくひと手にかかりたるものと存じます」
「その次第は?」
「はッ。……ただいま傷口をあらため見まするところ、一見、水蛭の咬み傷の如くには見えまするが、実は水鳥を狩るにもちいるの鏑形の鏃によりできたる傷。そもそも水矢の鏑には、普通には燕尾、素槍形、蟹爪のいずれかをもちいますのが方式。しかるに、この傷は猪目透二字切となっております。水矢に二字切の鏑をもちいまするは、ただひとつ伴流の手突水矢にかぎったことでございます。……心の臓にふれて、しかもこれを深く貫かず、さりげなき掠り傷の如くに見えますのは、鶴に近づいて手突矢をもって突いたゆえにございます」
「なるほど、事理いかにも明白。手口はそれで相わかったが、しからば、いかなる理由によって、このようなる益なき殺傷をいたしたものか存じよりがあるか」
藤波は昂然と叩頭して、
「……『菘翁随筆』に、『鶴を飼はんとすれば、粗食を以て飼ふべし。餌以前のものより劣れば、鶴は喰まずして死す』と見えております。手前考えますところ、このお飼場うちにて、なにものか、『瑞陽』