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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

……晴れの御前試合。どちらもぬからぬよう、じゅうぶん勉強いたすよう申し聞かせ」

「はッ」

「委細、承知いたしました」

両奉行は西の溜へとってかえすと、あわただしく下城の支度をはじめる。……一刻も早くこのむねを伝えて、万事ぬかりなく準備させねばならぬ。将軍御前で、万一、相手に言い伏せられるようなことでもあったら、それこそ、奉行たるものの面目はない、一期の恥辱。

佐田遠江守が、簡単に明日のうちあわせをしておこうと、下城口までふたりを追いかけて来て、

「しばらく……」

と、声をかけた。両奉行は式台で、

「は?」

と、いっせいに振りかえったが、どちらも生きたような色はしていなかった。

前夜

走るように書院に入ってきて褥につくと、甲斐守は手焙にもよらず、いきなり、

「委細は、すでに、組頭、柚木伊之助から聞きおよんだであろうが、なんとしても、このたびのことは、容易ならぬ仕儀」

と、一口に言うと、端正な面をあげて見すえるように相手の顔を眺める。

こちらは、かすかにうなずいただけ。

「江戸一の折紙のついたそちのことであるから、よもや、ぬかりもあるまいが、創口を一瞥いたしただけで、手口、情況、兇器の種類、下手人の人別、下手の動機にいたるまで、その場でご即答もうしあげねばならぬということであれば、なかなか、たやすからぬこと」