Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
頭から湯気を立てながら、
「おお、旦那、ちょうど、よかった。……それで、お調べのほうはどうでした。まるっきり、あてちがいだったでしょう」
藤波は苦りきって、
「なにを言う。……大塚本伝寺御代参の乗物。……出たときが十四挺で、帰ったときが二十四挺。十挺だけ多く入っている。もう、間違いない」
千太は上の空に聞きながして、
「それはそうと、その条は、まだ殿さまへはお復命になっていねえでしょうね」
「いや、逐一したためて、昨夜おそく差しだしておいた。今ごろはちょうどお手もとへ届いているころだ」
千太は眼の色をかえて、
「げッ、そ、それは、大ごとだ」
「なにが、どうしたと」
千太は手を泳がせて、
「ま、ま、まるッきりの見当ちがい。……十三人の腰元は、どこの木戸も出ていない。実は、安珍坂よりの不浄門からお屋敷へ入って、大井の局に隠れているんでございます」
藤波はサッと血の気をなくして、
「それを、どこから聞きこんだ」
「へえ、あまり寒いので、稲荷下の濁酒屋で一杯やっていますと、入って来たのが、陸尺が職人に化けたような妙な二人づれ。……聞くともなしに聞いていると、チラチラ気がかりなセリフがまじるから、思い切って頭からおどしつけて見ますと、いまもうしあげたような話。