Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
家事不行届のかどをもって、大勢の怪我人が出来よう。阿部さまも、この点をことごとく御心痛。大勢のいのちにかかわることであるから、たとえ草の根をわけても、明日いっぱいに探しだし、お催しのある十五日の朝までに、かならず十三人を局にもどしおくようにと命ぜられた。……それにつけて……」
と言いかけて、チラと美しい眉のあたりを翳らせ、
「この月は、当南町奉行所の月番。……それにもかかわらず、北町奉行所の播磨守へも同様のお沙汰があったというのは、いかにも心外だが、かような緊急を要する事件であって見れば、それもまた止むをえぬ処置かも知れぬ。……ことに、この節は、われわれの番所は失策が多く、とかく北におさえられてばかりいる。……どんなお取りあつかいを受けても、まず……一言もない」
甲斐守は、膝に手をおいて、虫の音に聴きいるような眼つきをしていたが、急に激したような口調になって、
「しかし、なんとしても、こんどばかりは負けられぬ。……万一北町奉行所に出しぬかれるようなことになったら、それこそ一代の不面目。月番奉行の役柄の手前、のめのめと職にとどまっているわけにはゆかぬ、お役御免をねがうつもり。