Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.832 Zeichen · 24 Bildschirme
にも必ず持って出かけて自慢の鼻をうごめかす。これは、三年前『万年青番付』の東の大関の位に坐ったきり動かぬという逸品で、価二千金と格付されているのだから、この自慢も万更いわれのないことではない。
ところで、娘の花世をのけたら、命から二番目というその錦明宝が、どういうものか四日ほど前から急に元気が無くなった。
葉いちめんに灰色や黒の斑点が出来て艶がなくなり、ぐったりと葉を垂れて、いわば、気息奄々というていである。
庄兵衛の狼狽ぶりは目ざましいほどで、せっせと水をやったり削節の汁をやったりするが、一向に生気がつかない。手をつくせばつくすほどいよいよいけなくなるように見える。毎朝起きぬけから縁先に突っ立っているが、つくせるだけの手はつくして、もうどうするという名案もない。愁傷の眉をよせて、手を束ねているよりほかないのである。
そればかりではない、庄兵衛老、ここのところ少々御難つづきのていで、いろいろとよくないことが起る。
めったにないことに娘の花世が急に熱を出し、死ぬほど胆を冷やして狼狽えまわったが、これがようやく治まったと思ったら、厩から火事を出しかけた。