Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.022 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「へえ、お生き返りあそばしたか」

女の肩に手をかけて、手荒く揺すぶりながら、

「姐さん姐さん、気がつきなすったか」

女は、長い溜息をひとつ吐くと、ぼんやりと眼をあいて怪訝そうにあたりを見まわし、

「……いま、なにか仰有ったのはあなたでしたか。……あたしはいったい、どうしたのでしょう」

「どうしたもこうしたも、ありゃしない、お前さんが鐘ガ淵へ落しこまれて土左衛門になりかかっているのを、手前がやっとの思いで助けてあげたんで」

女は、あら、と眼を見張って、

「あなたが、あたしをお助けくださいましたの」

「どうも話がくどくていけねえ。助けたらこそ、こうしているんです。さもなけりゃあ、今ごろは行徳の沖あたりまでつん流れて行って、鰯にお尻を突つかれているころだ」

「まあ、面白い方。……普通なら、ひとを助けておいて、なかなかそんな冗談はいえないものですわ。そんなところに突っ立っていないで、まあ、焚火にでもおあたりなさいませ」

顎十郎は、毒気をぬかれて、うすぼんやりと焚火のそばへ跼みこむと、女は裾を直し、改めて艶めかしく横坐りして焚火に手を翳しながら、

「ほんとうのことを言いましょうか。