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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.022 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「この月の今日、申の刻に、あなたがここを通りあわすことは、未生前からの約束でな、この宿縁をまぬかれることは出来申さぬのじゃ」

「おやおや」

「わしは、前の月の十七日から、断食をしながらここであなたが通るのを待っておった。……わしがここへ坐りこんでから、今日がちょうど二十一日目の満願の日。……これもみな仏縁、軽いことではござない」

老僧は、クヮッと眼を見ひらくと、まじろぎもせずに阿古十郎の顔を凝視めていたが、呟くような声で、

「はあ、いかさま、な!」

慈眼ともいうべき穏かな眼なのだが、瞳の中からはげしい光がかがやき出して、顎十郎の目玉をさしつらぬく。総体、ものに驚いたことがない顎十郎だが、どうも眩しくて、まともに見返していられない。思わず首をすくめて、

「お坊さん、あなたの眼はえらい目ですな。……まぶしくていけないから、もうそっちをむいて下さい」

老僧は、会心の体でいくども頷いてから、

「……なるほど、見れば見るほど賢達理才の相。……睡鳳にして眼底に白光あるは遇変不といって万人に一人というめずらしい眼相。……天庭に清色あって、地府に敦厚の気促がある。これこそは、稀有の異才。