Japanische Klassiker mit Furigana
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かおのびについて
顔の美について
伊丹 万作
Lesen Sie 顔の美について (かおのびについて) von 伊丹 万作 (いたみまんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.689 Zeichen · 4 Bildschirme
医者の手にかかつた顔というものは、無惨や、これはもうこの世のものではない。
もし世の中に美容術というものがあるとすれば、それは精神的教養以外にはないであろう。
顔面に宿る教養の美くらい不可思議なものはない。
精神的教養は形のないものである。したがつて目に見える道理がない。しかしそれが顔に宿つた瞬間にそれは一つの造形的な美として吾人の心に触れてくるのである。
また精神的教養は人間の声音をさえ変える。
我々は隣室で話す未知の人の声を聞いてほぼどの程度の教養の人かを察することができる。
もつとも時たま例外がある。
たとえば私の知つている某氏の場合である。
その顔は有島武郎級のインテリの顔であるがその声はインテリの声ではない。
私はあの顔からあの声が出るのを聞くと思わず身の毛がよだつ思いがする。
思うにこの人の過去はよほど根づよい不幸に蝕まれているのであろう。
私は必ずしも自分の顔が美しくありたいとはねがわないが、しかしそのあまりにもいかのごとき扁平さには厭気がさしている。
せめて自分の子は今少し立派な顔であれと願つたが、せつかくながら私の子は私の悪いところをことごとく模倣しているようである。