Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜのたより
風の便り
Lesen Sie 風の便り (かぜのたより) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.044 Zeichen · 66 Bildschirme
私だけでなく、他の誰かれにも、こんな長い手紙を、むきになって書いて居られるのではないだろうかと思えば、いよいよ狼狽するばかりでありました。私は、あなたを、ずいぶん深く愛しているようです。日常の手紙などで、あなたのもったいない情熱をこんなに濫費されて、たまるものかという気がしました。私は、自分を愛するよりも、あなたを愛しています。私は苦しくなりました。そうして、つくづく、あなたを駄目な、いいひとだと思いました。大痴という言葉がありますが、あなたは、それです。底抜けのところがあります。やはりあなたは有数の人物だと思いました。こんどは、もういいから、私にも誰にも、あんな長い手紙は書かないで下さい。閉口です。もう、わかりました。私は作品を書きます。書きます。こいつは、かなわんという気持で私は鞄にペン、インク、原稿用紙、聖書などを詰め込んだのです。
思えば、ばからしい旅でした。何一ついい事がありません。もう今夜で、三泊する事になるのですが、仕事は一枚も出来ません。最初の夜から大失敗でした。それをお知らせ致しましょう。私には仕事の腹案が一つも無かったのです。