Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜのたより
風の便り
Lesen Sie 風の便り (かぜのたより) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.044 Zeichen · 66 Bildschirme
女の尻を追い廻す、という最下等のいやな言葉が思い浮びましたが、私の場合は、それとちがうのだというような気もして、そんなに天の呵責も感じませんでした。なんとかして一言、なぐさめてやりたかったのです。女の人は、私のほうをちらと見て、立ち上りました。私はここぞと微笑して、「毎日たいへんですね。」と言ってやりました。女は、え? と聞き直すように小頸をかしげて私のほうを見て、当惑そうに幽かに笑いました。聞えないのです。急湍は叫喚し怒号し、白く沸々と煮えたぎって跳奔している始末なので、よほどの大声でなければ、何を言っても聞えないのです。私は、よほどの大声で、「毎日たいへんですね!」と絶叫しました。けれども、やっぱり奔湍の叫喚にもみくちゃにされて聞えないのです。女は、いよいよ当惑そうに眼をぱちぱちさせて、笑っています。私は、やけくそになって吠えるようにもういちど、「毎日たいへんですね!」と叫びましたが、女は、やはり、え? と聞き直すように、私の顔を見つめます。私は、しょげてしまいました。毎日たいへんですねという言葉そのものが、いったい何の事やら、わけがわからない、ばからしいもののような気がして来て、不機嫌にさえなりました。