Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ガドルフのゆり

風の又三郎

宮沢 賢治

Lesen Sie 風の又三郎 (ガドルフのゆり) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.150 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

泣いている。悪い人でない。かえって正直な人なんだ。よし、僕が助けてやろう)

亮二はこっそりがま口から、ただ一枚残った白銅を出して、それを堅く握って、知らないふりをしてみんなを押しわけて、その男のそばまで行きました。男は首を垂れ、手をきちんと膝まで下げて、一生けん命口の中で何かもにゃもにゃ言っていました。

亮二はしゃがんで、その男の草履をはいた大きな足の上に、だまって白銅を置きました。すると男はびっくりした様子で、じっと亮二の顔を見下していましたが、やがていきなり屈んでそれを取るやいなや、主人の前の台にぱちっと置いて、大きな声で叫びました。

「そら、銭を出すぞ。これで許してくれろ。薪を百把あとで返すぞ。栗を八斗あとで返すぞ」言うが早いか、いきなり若者やみんなをつき退けて、風のように外へ遁げ出してしまいました。

「山男だ、山男だ」みんなは叫んで、がやがやあとを追おうとしましたが、もうどこへ行ったか、影もかたちも見えませんでした。

風がごうごうっと吹き出し、まっくろなひのきがゆれ、掛茶屋のすだれは飛び、あちこちのあかりは消えました。

かぐらの笛がそのときはじまりました。