Japanische Klassiker mit Furigana
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ガドルフのゆり
風の又三郎
Lesen Sie 風の又三郎 (ガドルフのゆり) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.150 Zeichen · 48 Bildschirme
すぐ突きあたりの大きな室は、たしか階段室らしく、射し込む稲光りが見せたのでした。
その室の闇の中で、ガドルフは眼をつぶりながら、まず重い外套を脱ぎました。そのぬれた外套の袖を引っぱるとき、ガドルフは白い貝殻でこしらえあげた、昼の楊の木をありありと見ました。ガドルフは眼をあきました。
(うるさい。ブリキになったり貝殻になったり。しかしまたこんな桔梗いろの背景に、楊の舎利[※4]がりんと立つのは悪くない。)
それは眼をあいてもしばらく消えてしまいませんでした。
ガドルフはそれからぬれた頭や、顔をさっぱりと拭って、はじめてほっと息をつきました。
電光がすばやく射し込んで、床におろされて蟹のかたちになっている自分の背嚢をくっきり照らしまっ黒な影さえ落して行きました。
ガドルフはしゃがんでくらやみの背嚢をつかみ、手探りで開いて、小さな器械の類にさわってみました。
それから少ししずかな心持ちになって、足音をたてないように、そっと次の室にはいってみました。交る交るさまざまの色の電光が射し込んで、床に置かれた石膏像や黒い寝台や引っくり返った卓子やらを照らしました。