Japanische Klassiker mit Furigana
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ガドルフのゆり
風の又三郎
Lesen Sie 風の又三郎 (ガドルフのゆり) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.150 Zeichen · 48 Bildschirme
一月のある日のことだった。小十郎は朝うちを出るときいままで言ったことのないことを言った。
「婆さま、おれも年老ったでばな、今朝まず生れで始めで水へ入るの嫌んたよな気するじゃ」
すると縁側の日なたで糸を紡いでいた九十になる小十郎の母はその見えないような眼をあげてちょっと小十郎を見て何か笑うか泣くかするような顔つきをした。小十郎はわらじを結えてうんとこさと立ちあがって出かけた。子供らはかわるがわる厩の前から顔を出して「爺さん、早ぐお出や」と言って笑った。小十郎はまっ青なつるつるした空を見あげてそれから孫たちの方を向いて「行って来るじゃぃ」と言った。
小十郎はまっ白な堅雪の上を白沢の方へのぼって行った。
犬はもう息をはあはあし赤い舌を出しながら走ってはとまり走ってはとまりして行った。間もなく小十郎の影は丘の向うへ沈んで見えなくなってしまい子供らは稗の藁でふじつきをして遊んだ。
小十郎は白沢の岸を溯って行った。水はまっ青に淵になったり硝子板をしいたように凍ったりつららが何本も何本もじゅずのようになってかかったりそして両岸からは赤と黄いろのまゆみの実が花が咲いたようにのぞいたりした。