Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうばけものやしき
風流化物屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 風流化物屋敷 (ふうりゅうばけものやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.228 Zeichen · 40 Bildschirme
……平之助は朝飯を終って縁側へ出ている、もう半刻もそうやって茫然と坐っているのである、時どき首を捻ったり唸ったりする、なんだか知らないが物忘れをしてそれを思いださなければならないような気持なのだ。なんだろう、なにか頭にひっかかっている、たしかに――胸の中のようでもあるがいや頭だ、どうも頭のこのへんだ、などと考えている。屋敷の中は静かである、権八は看病疲れだとみえて、ひと掃除したあとすぐ自分の部屋へ引込み、いま居眠りのまっ最中だ。……午飯までなに事もなかった、午睡もちゃんとやったし、夕飯も無事に過した。権八は今日もまた古梅亭の酒を五合せしめて、昏れる前にとっととずらかった。旦那は五五の突き歩を十時頃まで睨んでいた、それからやがて眠くなったので、寝間へいって蚊帳の中へはいった。……権八がずらかって間もなく降りだした細かい雨が、陰々と更けてゆく庇にひそかな囁きの音を立てている、静かだ、ひきこまれるように静かな夜だ。蚊帳の外にある有明行灯の火がじじじと瞬たく、なに事もない、……いやそうじゃあない、廊下の隅のほうがぼうと明るくなった、青白い光がふわふわ揺れている。