Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうばけものやしき

風流化物屋敷

山本 周五郎

Lesen Sie 風流化物屋敷 (ふうりゅうばけものやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.228 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

んだそうですが、現われましてね」「まあ、――まあ、――」とみ嬢の手は、非常な勢いで生垣の秀を毟りだした、「それで、御座さまは、それをごらんになったんですのね」「仕方がありません、向うでやって来るんだから」「まあ、――」娘は感動の余り胸がひき裂けそうになり、眼がくらくらして来た。ああ私の体はあの方の胸へ倒れてゆく……こう思ったくらいである、そして実際倒れかかったのだが、仕合せなことに生垣があって支えてくれた。そこでとみ嬢は返報にその葉を凄まじい速度で毟りちらし、「まあ、――」と叫ぶなり家のほうへ走り去っていった。恐らく備忘録をつけるのであろう、平之助旦那はなにがなにやらわからず、釣瓶へ手を掛けたまましばらくその後を見送っていた。……柘榴屋敷は平穏になった、もはや天床で沢庵石も転がらないし、火の玉も飛ばない、床下で棺箱から出してくれと頼む声もなくなった、泰平無事である。変らないのは毎朝の井戸端だけで、とみ嬢と旦那は必ずいちど顔を合せて話をする、「ゆうべは静かでしたことね」「ええもう静かなもんです」「化物はやっぱり出ますの?」「ええ来ますよ、しかしもう温和しいもんです」