Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうきんとさかなのまち
風琴と魚の町
林 芙美子
Lesen Sie 風琴と魚の町 (ふうきんとさかなのまち) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.372 Zeichen · 27 Bildschirme
私達は、駅に近い線路ぎわのはたごに落ちついて、汗ばんだまま腹這っていた。
「こりゃもう、働きどうの多い町らしいぞ、桜を見ようとてお前、どこの町であぎゃん賑おうとったか?」
「狂人どうが、何が桜かの、たまげたものじゃ」
別に気も浮かぬと云った風に、風呂敷包みをときながら、母はフンと鼻で笑った。
「ほう、お前も立って、ここへ来てみいや、綺麗かぞ」
煤けた低い障子を開けて、父は汚れたメリヤスのパッチをぬぎながら、私を呼んだ。
「寿司ば食いとうなるけに、見とうはなか……」
私は立とうともしなかった。母はクックッと笑っていた。腫物のようにぶわぶわした畳の上に腹這って、母から読本を出してもらうと、私は大きい声を張りあげて、「ほごしょく」の一部を朗読し始めた。母は、私が大きい声で、すらすらと本を読む事が、自慢ででもあるのであろう。「ふん、そうかや」と、度々優しく返事をした。
「百姓は馬鹿だな、尺取虫に土瓶を引っかけるてかい?」
「尺取虫が木の枝のごつあるからじゃろ」
「どぎゃん虫かなア」
「田舎へ行くとよくある虫じゃ」
「ふん、長いとじゃろ?」
「蚕のごつある」
「お父さん、ほんまに見たとか?」