Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうちそう
風知草
宮本 百合子
Lesen Sie 風知草 (ふうちそう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.107 Zeichen · 88 Bildschirme
そこを歩くひろ子は、あんまり行く先がはっきりしているのと、いそいそしている自分があらわなのとを、はにかんでいるのであった。
行手の木立の間に、それらしい新しい建物が見えるところへ来た。すると、左手の草むらのうしろから、
「ひろ子さん」
大きい声で呼ぶ女の声がした。ひろ子は、道の上に立ちどまって見まわした。
「ここです、お待ちしていたの、御弁当をたべながら――」
あわてて立つ拍子にとりまとめた紙包を、まだ胸の前にたくしこみながら、小さい男の子をつれた瀬川牧子が、高い草の間から歩いて出て来た。
「まあ。――どうして? まち伏せ?」
牧子は数年このかた埼玉の町に住んでいて、滅多に会うことも出来なかった。
「思いがけないところから現れたのねえ」
「よかったわ、うまくつかまえられて」
上機嫌で牧子は男の児に、
「純ちゃん、これがおまくのおばちゃんよ、覚えている?」
と云った。三つぐらいの純吉が遊びに来たとき、ひろ子はその子と小さい枕をぶつけ合って遊んだ。それが大変気に入って、おまくのおばちゃんという名をもらったのであった。
「きょう、こちらへいらっしゃるとお友達から又聞きいたしましてね。