Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょくよく
食慾
豊島 与志雄
Lesen Sie 食慾 (しょくよく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.672 Zeichen · 20 Bildschirme
かすかではあるが……夢……にしては余りに強すぎました。私は一方では歯をぎりぎりかみしめながら、そして一方ではうっとりと酔いながら、もう自分で自分の身体を支えきれませんでした……。気が狂ったのでしょうか。それでも、私は前後の処置を狡猾に考え廻して、手落なく事を運びました。女中をねかし、また外に出で、木村さんと夢のようなことを語りあいました……。
――「自由に眼がくらんだのだ。」と野口は申します。
けれども、大切なのは、野口が側にいなくなって、その冷かな憐憫の圧迫がなくなって、そしてなぜ、私が「自由」を感じたかということです。ひとたまりもなく打負けたのは、眼がくらんだのかも知れませんが、然し、なんといろんな沢山のものを、私は求めていたことでしょう。またいろんな沢山なものを、自分のうちに持っていたことでしょう。その翌日はもう、私と木村さんは、浅間山の方はふり向きもしないで、谷間の奥深くに逃げこんで、昼食もたべずに、人目を避けました……。草の上、河原の小石の上に、やたらに香水をふりまきました。睡眠中よりも、もっと深い強い夢でした。
その夢からさめると、私はもう何物にも、どんな一寸したことにも、対抗するだけの力がありませんでした。