Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょくま

食魔

岡本 かの子

Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は次に、焜炉にかけた陶器鍋の蓋に手をかけ、やあっと掛声してその蓋を高く擡げた。大根の茹った匂いが、汁の煮出しの匂いと共に湯気を上げた。

「細工はりゅうりゅう、手並をごろうじろ」

と彼は抑揚をつけていったが、蓋の熱さに堪えなかったものと見え、ち、ちちちといって、蓋を急ぎ下に置いた様子も、逸子には壁越しに察せられた。

じかに置いたらしい蓋の雫で、畳が損ぜられやしないか? ひやりとした懸念を押しのけて、逸子におかしさがこみ上げた。彼女はくすりと笑った。世間からは傲慢一方の人間に、また自分たち家族に対しては暴君の良人が、食物に係っているときだけ、温順しく無邪気で子供のようでもある。何となくいじらしい気持が湧くのを泣かさぬよう添寝をして寝かしつけている子供の上に被けた。彼女は子供のちゃんちゃんこと着ものの間に手をさし入れて子供を引寄せた。寝つきかかっている子供の身体は性なく軟かに、ほっこり温かだった。

本座敷で鼈四郎は、大根料理を肴にビールを飲み進んで行った。材料は、厨で僅に見出した、しかも平凡な練馬大根一本に過ぎないのだが、彼はこれを一汁三菜の膳組に従って調理し、品附した。