Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょくま

食魔

岡本 かの子

Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

美少年でなければならなかった。与えられたこの戯名を彼も諾い受け寧ろ少からぬ誇りをもって自称するようにさえなった。

洒落れたお弁当が食べられ、なにがしかずつ心付けの銭さえ貰えるこの手伝いの役は彼を悦ばした。そのお弁当を二つも貰って食べ抹茶も一服よばれたのち、しばらくの休憩をとるため、座敷に張り廻らした紅白だんだらの幔幕を向うへ弾ね潜って出る。そこは庭に沿った椽側であった。陽はさんさんと照り輝いて満庭の青葉若葉から陽の雫が滴っているようである。椽も遺憾なく照らし暖められている。彼はその椽に大の字なりに寝て満腹の腹を撫でさすりながらうとうとしかける。智恩院聖護院の昼鐘が、まだ鳴り止まない。夏霞棚引きかけ、眼を細めてでもいるような和み方の東山三十六峯。ここの椽に人影はない。しかし別書院の控室の間から演奏場へ通ずる中廊下には人の足音が地車でも続いて通っているよう絶えずとどろと鳴っている。その控室の方に当っては、もはや、午後の演奏の支度にかかっているらしく、尺八に対して音締めを直している琴や胡弓の音が、音のこぼれもののように聞えて来る。間に混って盲人の鼻詰り声、娘たちの若い笑い声。