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Japanische Klassiker mit Furigana

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きがちたいをあるく

飢餓地帯を歩く

下村 千秋

Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

これは、この数日後に、青森県庁の農務課長の口から聞いたことであるが、現に凶作地の小学校生徒の健康は甚だしく害されつつあることが、県の巡廻医師に依って発見されたということであった。で、食糧の最も欠乏する三月四月に入って、尚も現状のまま放置しとくならば、栄養不良に依る子供の死亡率が激増するのではないか、ということであった。

夕めしが済むと、灯はなし、もう寝るより外はなかった、主人と主婦と子供とは、炉端の屏風のかげに、ぼろ布を重ね縫ったような布団にくるまって寝た、私は、一枚のかけ布団をかけ、それへかしわにくるまって寝た。私は、寝ながら訊いて見た。

「こちらでは、お子さんは一人ですか?」

すると、主婦が、

「なアに、もう一人、今年十七になるのがあるのです」と答えた。

その娘は、今、どこにいるか、私はそれを訊いて見たかったが、ここではもうそれを訊くのが余りに残酷に思われて来た。で、黙っていると主人が、溜息をつくようにして言った。

「その娘は、今、東京の方へ行ってます。この村からは、紡績へ出る娘がずいぶん多いですが、わしの娘は、五年の年期で、売り飛ばしてしまったです」