Japanische Klassiker mit Furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme
私はまたも暗い思いで黙っていると、老婆は、一人言のようにぼそぼそと、こんな意味のことも言った。
「わしの村は、稲田一反歩から二斗ばかしか取れなかった。それで、みんな外米を買って喰べているが、それを買うには金が先だ。その金を取るには、炭を焼くしかないが、その炭を焼くには炭材を買わねばならぬ。というのは、青森県下の山林の七割までは官有林で、一俵の炭を焼くにも、その官有林の木を現金で払い下げねばならぬ、という始末で、わしらの村の百姓達も、今、ほとほと途方に暮れている……」
この老婆は、見かけに依らず、青森県下の山林の七割までは官有林だということを知って居り、それに対して一つの意見を持っていたのであった。
また老婆は、こういう意味のことも言った。「この辺の百姓はまだ布団というものに寝られるので結構だ、これから西の方の、北津軽郡の車力村、稲垣村、西津軽郡の相内、内潟、武田の村々の百姓達は、布団と名のつくものは一枚も持っていない。みんなワラの中へ寝るのだ。一番下に稲のワラを敷き、その上に、ネシキというむしろのように織った菅を敷き、百姓達はその上にじかに寝る。そして、上には十三潟から取れる水藻で作ったネゴ(やっぱりむしろのように織ったもの)を掛けるのだ。