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Japanische Klassiker mit Furigana

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えさ

餌

宮本 百合子

Lesen Sie 餌 (えさ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.445 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

自然を追い込み、追い込みして、やっと息だけはつける隙間で、私共の生活は営まれて居るのではないだろうか。都会では、処々に庭と云う名目の下に切り遺された大自然の一部が、辛うじて、大地から湧く生命の泉を守って居る。私は、衝動的に、晴々と拘りない地平線を飽くほど眺めたい渇望を感じた。大らかな天蓋のように私共の頭上に懸って居べき青空は、まるで本来の光彩を失って、木や瓦の間に、断片的な四角や長方形に画られて居る。息吹は吹きとおさない。此処からは、何処にも私の懐しい自然全景を見出すことは出来ない。視覚の束縛のみではない。心がつき当る。東を向いても、西を向いても。豊かに律を感じて拡がろうとする魂が、彼方此方で遮られて、哀れな戸惑いをする。ああ、野原、野原。私の慾しいものは、宝石よりも館よりも、唯一ふき、そよそよと新鮮に、瑞々しく、曠野の果から吹いて来る朝の軽風である。

図らぬ時に、私の田園への郷愁が募った。いつか、檜葉の梢の鳥は去って、庭の踏石の傍に、一羽の雀が降りて居る。先刻、私が屋根に認めた一群のものらしい。チョン、チョンチョンと一束にとび、しきりに粟を拾って居る。