Japanische Klassiker mit Furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme
それから暫くして、彼ははあはあ息を切らしながら、陰鬱そうに眉根を寄せて出て来ました。
「何をしていらしたの。」と妻が尋ねました。
「お嬢さんと五十まで羽子をつけるかどうかかけをしたもんですから、一生懸命にやってみたですが、一度にゃとても五十は出来ません。」
骨張った額に真面目くさった皺を寄せてるその顔を見て、私共は笑うにも笑えませんでした。不器用な頑丈な手で、役者の似顔絵のついてる羽子板を握りしめて、五十まで羽子をつこうと決心して、子供達がいなくなった後までも、一人で座敷の中を飛び廻ってる彼の姿は、滑稽の度を通り越していました。
それから幾日かの間、毎日羽子の遊びが続きました。彼が五十までつけたかどうかは聞き洩しましたが、その遊びのお影で、上の子は五十までの数を、下の子は二十までの数を、独りでに数えることを覚えました。
母上
それからも一つ、彼が私の家で興味を覚えた事柄があります。それは、台所に転ってる野菜についてです。
或る寒い雨の日、彼が例の通り半ば濡れ鼠になって学校から帰って来た時、何かの煮物のために、釜の下に火が燃えてたものですから、妻はそこに彼を招いて火にあたらしたそうです。