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Japanische Klassiker mit Furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

白糸が佇みたるは、その裏口の枝折門の前なるが、いかにして忘れたりけむ、戸を鎖さでありければ、渠が靠るるとともに戸はおのずから内に啓きて、吸い込むがごとく白糸を庭の内にぞ引き入れたる。

渠はしばらく惘然として佇みぬ。その心には何を思うともなく、きょろきょろとあたりをせり。幽寂に造られたる平庭を前に、縁の雨戸は長く続きて、家内は全く寝鎮まりたる気勢なり。白糸は一歩を進め、二歩を進めて、いつしか「寂然の森」を出でて、「井戸囲い」のほとりに抵りぬ。

このとき渠は始めて心着きて驚けり。かかる深夜に人目を窃みて他の門内に侵入するは賊の挙動なり。われははからずも賊の挙動をしたるなりけり。

ここに思い到りて、白糸はいまだかつて念頭に浮かばざりし盗というなる金策の手段あるを心着きぬ。ついで懐なる兇器に心着きぬ。これ某らがこの手段に用いたりし記念なり。白糸は懐に手を差し入れつつ、頭を傾けたり。

良心は疾呼して渠を責めぬ。悪意は踴躍して渠を励ませり。渠は疾呼の譴責に遭いては慚悔し、また踴躍の教峻を受けては然諾せり。良心と悪意とは白糸の恃むべからざるを知りて、ついに迭いに闘いたりき。