Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた、そんな所に寝て……どうなすっ。……」

燈を差し向けて、いまだその血に驚く遑あらざるに、

「静かに!」と白糸は身を露わして、庖丁を衝き付けたり。

内儀は賊の姿を見るより、ペったりと膝を折り敷き、その場に打ち俯して、がたがたと慄いぬ。白糸の度胸はすでに十分定まりたり。

「おい、内君、金を出しな。これさ、金を出せというのに」

俯して答えなき内儀の項を、出刃にてぺたぺたと拍けり。内儀は魂魄も身に添わず、

「は、は、はい、はい、は、はい」

「さあ、早くしておくれ。たんとは要らないんだ。百円あればいい」

内儀はせつなき呼吸の下より、

「金子はあちらにありますから。……」

「あっちにあるならいっしょに行こう。声を立てると、おいこれだよ」

出刃庖丁は内儀の頬を見舞えり。渠はますます恐怖して立つ能わざりき。

「さあ早くしないかい」

「た、た、た、ただ……いま」

渠は立たんとすれども、その腰は挙がらざりき。されども渠はなお立たんと焦りぬ。腰はいよいよ挙がらず。立たざればついに殺されんと、渠はいとど慌てつ、悶えつ、辛くも立ち起がりて導けり。二間を隔つる奥に伴いて、内儀は賊の需むる百円を出だせり。