Japanische Klassiker mit Furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme
看護婦は窮したる微笑を含みて、
「お胸を少し切りますので、お動きあそばしちゃあ、危険でございます」
「なに、わたしゃ、じっとしている。動きゃあしないから、切っておくれ」
予はそのあまりの無邪気さに、覚えず森寒を禁じ得ざりき。おそらく今日の切開術は、眼を開きてこれを見るものあらじとぞ思えるをや。
看護婦はまた謂えり。
「それは夫人、いくらなんでもちっとはお痛みあそばしましょうから、爪をお取りあそばすとは違いますよ」
夫人はここにおいてぱっちりと眼をけり。気もたしかになりけん、声は凛として、
「刀を取る先生は、高峰様だろうね!」
「はい、外科科長です。いくら高峰様でも痛くなくお切り申すことはできません」
「いいよ、痛かあないよ」
「夫人、あなたの御病気はそんな手軽いのではありません。肉を殺いで、骨を削るのです。ちっとの間御辛抱なさい」
臨検の医博士はいまはじめてかく謂えり。これとうてい関雲長にあらざるよりは、堪えうべきことにあらず。しかるに夫人は驚く色なし。
「そのことは存じております。でもちっともかまいません」
「あんまり大病なんで、どうかしおったと思われる」
と伯爵は愁然たり。