Japanische Klassiker mit Furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme
傍聴席は人の山を成して、被告および関係者水島友は弁護士、押丁らとともに差し控えて、判官の着席を待てり。ほどなく正面の戸をさっと排きて、躯高き裁判長は入り来たりぬ。二名の陪席判事と一名の書記とはこれに続けり。
満廷粛として水を打ちたるごとくなれば、その靴音は四壁に響き、天井に※えて、一種の恐ろしき音を生して、傍聴人の胸に轟きぬ。
威儀おごそかに渠らの着席せるとき、正面の戸は再び啓きて、高爽の気を帯び、明秀の容を具えたる法官は顕われたり。渠はその麗しき髭を捻りつつ、従容として検事の席に着きたり。
謹慎なる聴衆を容れたる法廷は、室内の空気些も熱せずして、渠らは幽谷の木立ちのごとく群がりたり。制服を絡いたる判事、検事は、赤と青とカバーを異にせるテーブルを別ちて、一段高き所に居並びつ。
はじめ判事らが出廷せしとき、白糸は徐かに面を挙げて渠らを見遣りつつ、臆せる気色もあらざりしが、最後に顕われたりし検事代理を見るやいなや、渠は色蒼白めて戦きぬ。この俊爽なる法官は実に渠が三年の間夢寐も忘れざりし欣さんならずや。渠はその学識とその地位とによりて、かつて馭者たりし日の垢塵を洗い去りて、いまやその面はいと清らに、その眉はひときわ秀でて、驚くばかりに見違えたれど、紛うべくもあらず、渠は村越欣弥なり。