Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かみきりむし

髪切虫

夢野 久作

Lesen Sie 髪切虫 (かみきりむし) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.355 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

それは何ともいえず匂やかな、柔かい薄桃色の絹シェードの光であった。

「アラッ。まあ何て神秘な光でしょう。……妾は思い出したわ。虫の血で染めたパピルスの行燈を……ナイル河に臨んだ王宮の燈火を……妾の恋はキットあそこに在るのに違いないわ」

それから彼女はシッカリと畳まっている左右の羽根を生れて初めて、夕暗の中でユルユルと拡げてみた。なやましい湿度を含んだ風が羽根の裏側にヒッソリと沁み渡った、と思うと彼女は早や、青い青い夕星の下の宵暗を、はるかはるかの桃色の光に向って一直線に飛んで行くのであった。

「アッ。お父様……髪切虫が来ましたよ」

「ナニ。髪切虫が……」

「ええ。お父様が今夜は違った虫が捕りたいから誘蛾燈に赤いシェードを掛けとけって仰言ったでしょう。ですからそうしといたら蝶々は一匹も来ないでコンナ髪切虫が……」

「ううむ。面白いのう。甲虫は一体に赤い色が好きなのかも知れんのう」

「オヤッ。この髪切虫は普通のと違っている。この間お父様が大学で見せて下すった化石の髪切虫によく似てますよ。ね。ホラネ。身体が瓢箪型になって、触角がズット長くて……おまけにトテモ綺麗ですよ。