Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 鬼 (おに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.138 Zeichen · 60 Bildschirme
「まさか乗合自動車に乗らなかった訳ではありますまいね」
国枝氏は相手の躊躇をあやしんで、やや皮肉な口調で催促した。
「ところが、乗らなかったのです」幸吉は苦し相に云って、なぜかひどく赤面した。青ざめていた顔が突然パッと紅潮したのが、人々をギョッとさせた。
「僕が嘘をついている様に聞えましょうね。併し本当なんです。偶然にも、僕は昨夜に限って乗合自動車に乗らなかったのです。村の発着所へ行った時、丁度N市行きの最終の乗合が出たあとで、外に車もないものですから、僕はテクテク歩いて行ったのです。汽車と違って近道をすれば一里半程のみちのりですから」
「君はさっき、N市へは何の目的もなく、ただ賑やかな町を散歩する為に出掛けた様に云ってましたね。何の目的もないのに、一里半にもせよ、態々歩いてまでN市へ行かなければならなかったのですか」
判事の追及益々急である。
「エエ、それは、田舎者には一里や二里の道は何でもないのです。村の者はN市へ用事があっても、自動車賃を倹約して歩く位です」
だが、幸吉は村長の若旦那だ。一里や二里が平気な程丈夫相にも見えぬ。
「では、帰りはどうしました。