Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lesen Sie 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.312 Zeichen · 57 Bildschirme
平次はフト妙なことに気がつきました。六畳は雑物で一パイ、その中に内儀の死骸を寝かした床は敷いてありますが、外にもう一つ主人の床を敷く場所があろうとも思われません。
「私は癇が強くて、夜分寝付かれないので、もう久しい前から、家内と別々のしずかな部屋に寝んでおります」
「――――」
平次はそれを黙って聴いて、部屋の中に入りました。
「この通りでございます」
死骸の顔を隠した巾を取ると、思わず平次も唸ったほどの凄まじさです。
内儀のお町は四十前後、まだ脂切った若さで、死の苦悶に歪められてはおりますが、充分に綺麗でもあり、色っぽくもあります。
見ると死骸の首のあたりは、四角なもので押し潰されたらしく、飛出した眼や、虚空を掴んだ両の拳にも、並々ならぬ苦悩がコビリ付いて、
「これは容易じゃない」
思わず物に馴れた平次も独り言を言いました。
「何んでやったんでしょう、親分」
八五郎も横から口を出します。死骸の喉は、外から恐ろしい力でひしがれておりますが、何うしてそんな事をしたか、さいしょは見当も付きません。
「八、これは何んで殺したと思う」
平次は四方を見廻しました。
「サア、見当もつきませんね、おそろしい剛力で、喉を押し潰したようですが」