Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lesen Sie 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.312 Zeichen · 57 Bildschirme
そのうえ困ったことに、こんな時にはいちばん役に立つ筈の、出入の鳶の者、植木屋の親方までが、花見船に乗込んで居り、夕方までは飲み通す筈で、陽のあるうちは岸につけそうも無かったのです。
駒形の佐渡屋は、町役人や近所の衆、お義理だけに集まって、ワイワイして居るだけ、そこへ駈けつけた銭形平次の顔を見て、ホッとしたのも無理のないことでした。
佐渡屋平左衛門は、大地主の大金持で、土地の旦那衆で立てられておりましたが、場所柄だけに、家はそんなに広くはなく、二階建の下の居間の隣、六畳の仏間で、手に水晶の珠数を掛けたまま、朱に染んで死んでおりました。
傷は背中から一箇所、槍でえぐったか、刀で突いたか、得物がないのでわかりませんが、左肩胛骨の下を、心の臓へかけての深い傷で、何様凄まじい血潮です。
不断着らしい、紬の袷、前のめりになって、仏壇は開いたまま、――その仏壇は駒形町の往来に背を向けて、六畳一パイにはめ込みになった豪勢なもの、拝んだ姿勢が、仏の在す、西の国を讃仰するようになっております。
仏間の前は廊下、廊下を距てて、義弟の伯次の住んでいる二た間の家、元より一家の構の中ですが、これは兄の平左衛門と違って船が好きで、殺生がすきで、窓からすぐ大川に飛出せるよう、東向きの部屋に陣取って、春の麗かさを満喫しております。