Japanische Klassiker mit Furigana
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きぶつどうじけん
鬼仏洞事件
海野 十三
Lesen Sie 鬼仏洞事件 (きぶつどうじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.468 Zeichen · 30 Bildschirme
と、三千子は、桃の木の傍で、首をかしげた。一向そんな血醒い光景でもなく、青竜刀を横に払って大見得を切っている水牛僧の部が、むしろ間がぬけて滑稽に見えるくらいであった。いくぶん不安な気を起させるものといえば、この部屋の照明が、相当明るいには相違ないが、淡い赤色灯で照明されていることであった。
そのときであった。隣室に人声が聞え、つづいて足音が近づいて来た。
(いよいよ誰か来る)
時計を見ると、もう二三分で、例の午後四時三十分になる。すると、今入ってくる連中の中に死ぬ人が交っているのであろう。三千子は、その人々に見られたくないと思ったので、人形と反対の側の入口の蔭に、身体をぴったりつけた。
すると、間もなく見物人は入ってきた。見れば、それは先程の五六人連れの中国人たちであったではないか。
(やっぱり、そうだった)
三千子は、心の中に肯いた。部屋部屋を、順序正しく廻ってくれば、この一行は、まだもっと遅れ、二三十分も後になって、この部屋へ巡ってくる筈だった。ところが、例の不吉な定刻にわざわざ合わせるようにして、この第三十九号室へ入ってきたというところから考えると、いよいよこの中の誰かが、死の国へ送りこまれるらしい。