Japanische Klassiker mit Furigana
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きぶつどうじけん
鬼仏洞事件
海野 十三
Lesen Sie 鬼仏洞事件 (きぶつどうじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.468 Zeichen · 30 Bildschirme
と、謎のような言葉を囁いた。
三千子は、それを聞いて、電気に懸ったように、びっくりした。
もうすこしで、彼女は、あっと声をあげるところだった。それを、ようやくの思いで、咽喉の奥に押しかえし、殊更かるい会釈で応えて、その場を足早に立ち去った。しかし、彼女の心臓は、早鉦のように打ちつづけていた。
無我夢中で、二三丁ばかり、走るように歩いて、彼女はやっと電柱の蔭に足を停めた。腕時計を見ると、時計は、ちょうど、午後四時を指していた。
(今の話は、あれはどうしても、鬼仏洞の話にちがいない。あと三十分すると、第三十九号室で、誰か人が死ぬのであろう。なんという気味のわるい知らせだろう。しかし、こんな知らせを受取るなんて、幸運だわ!)
三千子は、昂奮のために、自分の身体が、こまかに慄えているのを知った。
(行ってみよう。時間はまだ間に合う。――もし鬼仏洞の話じゃなかったとしても、どうせ元々だ)
三千子の心は、既に決った。彼女は、南京豆売りの少年が、なぜそんなことを彼女に囁いたのかについて考えている余裕もなく、街を横切ると、鬼仏洞のある坂道をのぼり始めたのであった。