Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
「ちッ、厭になるねえ――ちょいとお前さん、お起きなさいったら。そんなところに寝て、風邪ひくじゃないか。しようがないねえ」
ゆすぶり起そうとすると、右近の口がモゾモゾと動いて、
「これア寝言だぜ」断っている。「なアお絃、おめえもつくづく嬉しい気性だなあ。こうやって自分達は、野良犬みてえに軒の下に夜を明かしても、好いた同士の首尾を計ってやる。これは善根というものだ」
「蓮根だか何だか知らないけど、うれしい気性はお前さんさ。全体このことは、お前さんが言い出したんじゃないか」
「いンや、お前が言い出したのだ」
互に善根をゆずり合っている。
「あああア」お絃は欠伸をして、「だけど蓮根てものは、寒いもんだねえ」
「蓮根ではない。善根である」
「あい。ソノ根さ」
無駄口をきいているうちに、どっちが先ともなく眠りこけて、並んで膝を抱いたまま、壁の根に背をあずけてコクリコクリやっていると――何刻経ったか、ふと、しきりに頭髪にさわるものがあるので、右近は夢中で手をやって払い退けた。
糸のようなものだ。
払っても払っても垂れ下ってくるのだ。が、こっちは寝ぼけている。色いろに頭を動かして避けていると、やがて右近、ぎゅうと髷の根を掴んで引き上げられるような気がして、眼がさめた。