Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
素早く追った造酒の長剣は、それこそ銀百足のように、庭へ倒れようとする雨戸を一枚ザアーッ! と這って二つにしたに過ぎない。
その戸を背に刀を避けた魚心堂は、お妙を急き立てて庭を走って行く。黒い影が二つ、築山を廻って消えようとしている。
「先生! 今のが狼藉者でござりますか、心得ました。それッ!」
一同に下知してバラバラバラッ! 庭へ跳び下りて追いかけようとする天童利根太郎を、造酒は、白刃を突き出して制した。
「よい! 逃がしてやれ、面白い爺さんじゃ。それに、お前たちは、束になっても敵わぬ。敵わぬ」
あッはッは! 庭松の月を仰いで、造酒は肩を揺すって哄笑った。
五
登城。下城。お濠端。雨のような日光。
下城する南町奉行、大岡越前守忠相。
登城する平淡路守。
大手先である。二つのお行列が一つになっている。笠のような大松の下に擦れすれにお駕籠を寄せて二人は親友である。駕籠の中から駕籠の中へと、何やら低声に話を交しているのだ。
淡路守の眼尻に、皮肉な鋭い、しかし怜悧そのもののような小皺が寄る時は、かれ淡路、重大なことを事もなげに言い出すときである。今がそれだ。