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Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、長庵さん、お察し下さい。わたしゃ口惜しいのだ――あんな、あんな、お尋ね者に、お妙が心を寄せるなんて――」

「シッ、コレ、幸吉どん、ここをどこだと思う? 殿様の前ですぞ。そんなに取り乱して、一たい全体なにがどうしたと言うんです」

「あッ!」と幸吉は、はじめて山城守が眼に入ったように、「殿様! 御注進! 居ます! います! あの野郎が居ます! わたしは裏口の隙間から覗いて見ましたんで声も聞きました――話も聞きました――アア、アア、草臥れた」

「ナ、何がいるというのですい。これ幸吉どん、しっかりしなさい。いったい何者がどこにいるというのだ――」

崩れようとする幸吉を、長庵が抱くようにして訊いた。何事か?――と出て来た数人の家来達に取りまかれて、関取のように大きな山城守が、スックと立って幸吉を見下ろしていた。

すると、何者が、どこにいるのだ?――と叱るように長庵に訊かれて、糸のような細い声で幸吉がいったのだ。

「か、神尾――」

「な、何イ?」

山城守の顔がさっと変った。一同も打たれたように反けぞって、ざわざわと幸吉のほうへ詰めよった。幸吉が言っていた。

「神尾――喬之助、というおさむらい――」