Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつ
魔術
Lesen Sie 魔術 (まじゅつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.235 Zeichen · 15 Bildschirme
「ほんとうの金貨さ。嘘だと思ったら、手にとって見給え。」
「まさか火傷をするようなことはあるまいね。」
友人の一人は恐る恐る、床の上の金貨を手にとって見ましたが、
「成程こりゃほんとうの金貨だ。おい、給仕、箒と塵取りとを持って来て、これを皆掃き集めてくれ。」
給仕はすぐに言いつけられた通り、床の上の金貨を掃き集めて、堆く側のテエブルへ盛り上げました。友人たちは皆そのテエブルのまわりを囲みながら、
「ざっと二十万円くらいはありそうだね。」
「いや、もっとありそうだ。華奢なテエブルだった日には、つぶれてしまうくらいあるじゃないか。」
「何しろ大した魔術を習ったものだ。石炭の火がすぐに金貨になるのだから。」
「これじゃ一週間とたたない内に、岩崎や三井にも負けないような金満家になってしまうだろう。」などと、口々に私の魔術を褒めそやしました。が、私はやはり椅子によりかかったまま、悠然と葉巻の煙を吐いて、
「いや、僕の魔術というやつは、一旦欲心を起したら、二度と使うことが出来ないのだ。だからこの金貨にしても、君たちが見てしまった上は、すぐにまた元の暖炉の中へ抛りこんでしまおうと思っている。