Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さかなのじょぶん
魚の序文
林 芙美子
Lesen Sie 魚の序文 (さかなのじょぶん) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.384 Zeichen · 21 Bildschirme
「でも、なかなか堂々たる邸だよ、大きい樹に囲まれていて、ピアノの音がしていて……」
「ちっともうらやましかないわ」
「うん、ちっともうらやましかないさ」
彼女はもう平然と僕の兵児帯を締めている。初めの頃のおどおどした気持ちも抜けてもうこの頃では、まるで十四五の娘のように、朗らかであった。
「だけど、俺達は乞食のようにお椀を一生持って暮らさなきゃならない理由ッてないよ」
「それやアそうよ。だけど、ねえ、捨石になれる悟りでも開かン事には、やっぱり、一生お椀の口かも知れないもの」
雨が時々、障子に汐のようにしぶいて来る。僕は墓場の言葉を憶い出していた。
彼女は、子供のように、河のほとりで唄うような気持ちだと云うあの淋し気な声で、「一、魚の序文。二、魚は食べたし金は無し。三、魚は愛するものに非ず食するものなり……」と音読するのであった。
(昭和八年四月)