Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
Lesen Sie 魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編 (かいじんじゅうまんかん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.671 Zeichen · 55 Bildschirme
ツマリ往復に半日を無駄にして了うわけである。逗子は少し遠方過ぎるから別としても、大塚巣鴨辺から通う人は少くも往復一時間半乃至二時間近く費すであろう。毎日之だけの時間を或る一定の仕事に割いたなら、五六年間には相当な大きな仕事が出来る。我々は時間を徒費しつつ電車の恩徳を難有がらなければならんのだ。
▲そんなら電車に乗ってる間の時間を読書に善用したら宜かろうというが、其意で必ず書籍を懐ろにしていても、あのゴタクサした中では浮の空で読める新聞ぐらいなら格別、真面目な読書に精神を集中する事は迚も出来ない。且大抵は釣革に揺下るのだから、まごまごしていれば足を踏まれる、車が停ったり動いたりする度毎にヨロ/\する、其間には車掌が『御懐中物の御用心!』と号令を掛ける。足を踏まれまいと用心し、ヨロ/\しまいと用心し、懐中物を掠られまいと用心し、其上に目的の停留場を乗越すまいと用心しなけりゃならない。乗るから降りるまで用心のしつゞけで労れて了う。
▲自働車の上なら悠然と沈着て読書は本より禅の工風でも岡田式の精神修養でも何でも出来そうだが、電車は人間を怯懦にし、煩瑣にし、野卑にし、放肆にする。