Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
――話をするうちにも、うすっぺらな移民案内一冊を後生大事にふところにいだいての闇の津軽海峡を渡った五年前の興奮が、今は苦い渣滓となって心の隅にこびりついているのを感ぜずにはいられなかった。
「おめえたちのとこア、年中、米のめしくえるべな。なんしろ上川だでな。北海道一土地が肥えてっのだから」。深いため息をついて源吉はそういい、しんから山本を羨んだ。
「ふん。」
鼻のさきであしらい、人を小馬鹿にしたような調子で山本はいった。源吉はむっとした。その相手の心をよみとった山本は追っかけるようにするどい声でずばり、と言った。
「それでおめえ、自棄酒くらってよっぱらってれば、その苦しさから脱けて出られっとでもいうのか。」
はっと胸をつかれて源吉がおもわず息をのむと、山本はハハハと大声を立てて笑った。源吉はしかし、こんどは怒れなかった。かえって彼は、兄貴からでも叱りつけられたときのような、叱られながらそのものによりかかっているといった、頼もしさと力つよさとをかんじたのである。
「んだら、どうせばいいっていうんだ!」
彼はせっぱつまったような、苦しそうな声で言った。山本はちょっとの間だまっていた。