Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
町には見る見る活気がみなぎってくる。大漁を祈願する鐘や太鼓の音がひっきりなしにきこえる。鰊場かせぎの出面たちは近処の農村から続々と入りこんでくる。――どこへ行っても話は今年の鰊漁の予想でもちきりだ。漁夫たちは期せずして勇み立った。
初鰊の報道があってから一週間目に、大丸の建網にも最初の群来を見た。
凪のいい日だった。日が山のかげに沈むと、とおく沖の彼方から夕闇がおし迫って、波のいろがみるみる変ってきた。漁撈長である船頭は、舟の上から食い入るようにいろの変ってきた海面を凝視している。目で見るというよりもからだじゅうの全神経で感じるのだ。
見よ、今一瞬のうちに闇のなかにつつまれようとしている海面がそのとき異様なふくらみを見せてもりあがり、もりあがって来たではないか。――ひたひたひた、と鰊の大群はいま網のうえに乗ってきたのだ。
一瞬、舟の上に仁王立ちになった船頭は、儼然として言いはなった。
「起こせ!」
起こせ、とは網を起こせということだ。声と共に固唾をのんで待ちかまえていた漁夫の手によって、網口がただちにぐいぐいと引きあげられる。嚢網の奥部に向ってそれは繰越し繰越したぐりよせられて行く。