Japanische Klassiker mit Furigana
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とり
鳥
横光 利一
Lesen Sie 鳥 (とり) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.228 Zeichen · 30 Bildschirme
しかし、それからの私ひとりの生活の寂しさは彼女を負っていた日の「忍耐」とは比べものにならなかった。殊にときどきリカ子はひとり私の所へ遊びに来るのだ。私はリカ子に来るなといっても是非Qが私の所へゆけといってきかないという。それならなお来てはいけないではないかというと、でも私も来てみたいのだと彼女はいう。私が来るなといいQが行けというこの虔ましやかな美徳の点においてさえも、猶且つ行けとすすめるQの方が私よりも優れているのだ。美徳の悪徳、私はリカ子の顔を見せられる度毎に、私とQとの美徳を押し合う悪徳について考えずにはいられなかった。しかもリカ子は私を愛していないにも拘らず、私を憐れむ姿に愛情の大きさをさえ含めなければならぬのだ。私は私でQとリカ子とから受けた過去の過度の恩愛に対しても彼女のしたいままなる行状を赦していなければならない。私は彼等二人のいかなる点に怒る必要があるのだろう。ただ私にとって惨酷なのはQとリカ子との私を憐む愛情だけだ。それも彼等にとっては私を憐れまないより憐れむ方が私を尊重することになっているのは分っている。しかも、彼等にとって私を憐れみ続けることはなお一層の苦痛を続けていることになっているのだ。