Japanische Klassiker mit Furigana
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とり
鳥
横光 利一
Lesen Sie 鳥 (とり) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.228 Zeichen · 30 Bildschirme
するとリカ子は私の咽喉笛に食いつくように、あなたは馬鹿でお人好しのように見える癖に猾くて隅に置けなくて、くよくよしている坊主みたいにめそめそしていてそれに説教ばかりしたがってとやっつけ出した。このリカ子の暴風のような暴れ出し方が今迄Qの悪口を聞いて不快になっていた私の心を吹き払った。そればかりではない、私にはリカ子のいっていることがいちいち胸に応えて来て、そうだ、そうだと首まで調子を合せて頷くのだ。全く私は今までQとリカ子とから賞められすぎて来たのである。私は賞められれば賞められるままの姿に堅められ、ますます不幸な方向へばかり辷り込んで来ていたのだ。その癖心は絶えず反対の幸福を望み、人に勝つことを心がけ、負けると人の急所を眺めて心を沈め、あらゆる凡人の長所を持ち、心静かに悟得し澄ましたような顔をし続けてひそかに歎き、闘いを好まず気品を貴んで下劣になり、――私は私自身でまだかまだかと私をやっつけ出すと、面前のリカ子と一緒に兇暴に笑い出した。Qが陰でひそかに私の悪口をいったことが、今は私に彼への尊敬の念を増さしめるだけとなった。しかし、それにしても私のこの心の動きは本当であろうか。